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オトメちゃんが本に!!

■当ブログが本になりました■

行ってきました「ジャイアントパンダを語る」トークショー!

【訪問記】

上野動物園 動物園ホール

上野動物園 動物園ホール



4月25日、東京・上野動物園内「動物園ホール」にて、
「ジャイアントパンダを語る 研究者と飼育係によるトークショー」
が開催されました。

本日は、
ジャイアントパンダをはじめ動物園で死亡する
動物の解剖にたずさわっている解剖学者、
東京大学総合研究博物館教授の遠藤秀紀さんと、
2002年からシュアンシュアン、リンリンの飼育を担当していた
上野動物園東園飼育展示係の倉持 浩さんによる異色の対談です。

トークショーは、倉持さんの上司でもある
同園東園飼育展示係長の堀 秀正さんによる司会で、
13時30分、予定通りスタートしました。

トークショー会場

トークショー会場



以下、トークショー内容(長文)



写真左が倉持さん、右が遠藤さん

写真左が倉持さん、右が遠藤さん



はじめにおふたりのプロフィール紹介があったあと、
それぞれジャイアントパンダ(以下、パンダ)との
最初の出会いについて司会者より訪ねられました。

遠藤さんは、パンダとの最初の出会いは、
じつはあまりいい思いではないと語ります……。

幼少期、上野動物園のすぐそばに住んでいた遠藤さんは、
(先代の林家三平師匠宅のはす向かいだったそうです)
上野動物園は遊び場であり、
ちょくちょく忍び込んだりしていたそうです(笑)。
そんな幼少時代に、ランラン、カンカンのパンダ初来日を迎え、
日本中がパンダに沸いた時期を動物園ですごしたのです。
それまでゆったりと動物を見ていた遠藤少年にとって、
その騒ぎは、まさに迷惑なブーム。
数時間ならんで見られるのは20秒というパンダ舎をよそに、
遠藤さんはオオアリクイのオリのあたりにいて、
なかばパンダとは無縁な状況、あえてパンダには近づかない、
そんな関係を保つ少年だったそうです。

パンダとの本当の意味での初の接点は、
おとなになり現在の職について、
上野動物園でフェイフェイが死んで、
初めてフェイフェイの解剖にたずさわったのが、
パンダとの最初のご対面かもしれません、とのことでした。

一方、飼育員の倉持さんは、
2002年にシュアンシュアン、リンリンの飼育担当になったのが、
パンダとの最初の関係ではないかと語りました。
子どものころはどちらかというと昆虫少年でしたし、
それほど動物に興味があったわけでもなく、
こうして動物園の飼育員になるなんて、
当時はまったく思ってもいなかったんだそうです。
ところが最近になって、家から上野動物園で生まれたパンダのトントンの、
なんと新聞記事のキリヌキが見つかり、
自分ではまったく記憶にないのですが、じつはパンダとの接点は、
子どものころにもあったのかもしれません、と語ってくれました。

意外にもおふたりとも、そんなにパンダに熱心な幼少期でわけでもなく、
実際にはそっけないパンダとの出会いだったというあたりが面白いですね。

続いてトークは、パンダに出会い、
いろいろなことにたずさわるようになって、
改めてパンダを見たときのパンダの印象は、どうでしょうか?
という質問になり、

倉持さんは、パンダは不思議な動物ですね、
よくだまされたりもしました、と語ります。
動物園でのパンダの飼育の目的のひとつに繁殖というのがありますが、
シュアンシュアン(メス)とリンリン(オス)も人工受精を試みて、
ある年、シュアンシュアンの行動に確実に妊娠の予兆、行動があり、
誰もがシュアンシュアンは完全に妊娠したものと思っていたんですが、
あとになってそれは疑似妊娠で、
まったく妊娠していなかったという事実が発覚しました。
そのときはみんなだまされました、と。
なおパンダには疑似妊娠という状況はよく見られるらしく、
なぜ疑似妊娠が起きるのかは謎なんだそうです。

また倉持さんは、パンダの飼育は簡単なのではないかともいいます。
簡単というのは語弊がありますが(飼育方法が簡単という意味ではない)、
パンダは誰の手からでもエサをもらいますし、
この人にしか慣れていないというような、他の動物に見られる、
そういう関係がまったくないので、飼育は簡単だ、と思うといいますか、
そのあたりが人なつこいというだまされているんじゃないかと、
いろいろなことがありましたけど、ひょっとするといまだにだまされている、
そんな気がしますと語ってくれました。

そんな話を聞いた解剖学者の遠藤さんは、
そういう意味でいうと解剖学的にもだまされ続けてきました、
とお話をつないでくれました。

パンダの手には竹や笹を握るために進化した6番目の指(本当の指は5本)があると、
これは1937年にイギリスの学者が発表して以来、じつに60年以上も信じられていたが、
科学の進歩により7番目といえる骨が見つかり、その事実は塗り替えられた。
つまり学者も60年以上だまされていたとお話ししてくれました。

またパンダは何科であるかという長年の論争についても、
実際にはだまされ続けているんじゃないかという気持ちもあるそうです。

今は、DNA鑑定の結果、クマ科という説が濃厚ですが、
それについてもまだ数年、
クマとは違うんじゃないかという発言ができたらいいなぁと、
まだ確信はないけど、解剖しているとこれはクマじゃないぞと、
そういう話もしていきたいという気持ちがあると、
遠藤さん自身思っていると述べています。

飼育員の倉持さんと、解剖学者の遠藤さんについての関係にも、
少し触れられました。

あるとき遠藤さんは、倉持さんに、
リンリンは手の使い方が他のパンダと少し違うとのことを告げられ、
それは何か違いがあるんでしょうかと、
いつか解剖学的に解明できないか、とプレッシャーをかけられたと、
笑いながらお話しされました。

ここで、遠藤さんの得意な分野から、パンダに関する解剖学的なお話を、
写真、CGを使って説明をしてくれました。

じつは先のお話で出たパンダの7番目の指を発見したのが、
なんと遠藤さんなんですね。

近年の遠藤さんの解剖で、パンダの各部をCTスキャンで取り込み、
それぞれ骨格をデータにしてCG化し、その動きを解析。
手の関節の動きを解析中に6番目の指のような突起だけでは、
物はつかめるが簡単に抜け落ちると、
で、じつは6番目の突起の反対側に、さらに7番目の骨があり、
手首を曲げると、6番目、7番目の2本がうまく動き、
それらが支えるようにして物がつかめているという動きを発見しました。

そんな遠藤さんに、
倉持さんが飼育中に観察していて気づいたリンリンのクセを話たんだそうです。

リンリンはたまに食べ物を右手の甲にのせて食べていたそうです。
特にリンゴなど丸い物は握らずに、手の甲にのせていたそうです。
それは先天的に何か問題があるのか、それとも後天的に手を痛めたりして、
他のパンダよりも丸い物を握ることが苦手なのか、
そのあたりをいつか調べてほしい、ということだったんだそうですが、
遠藤さんがリンリンを解剖した結果、それらのクセについては、
解剖学的にはわからなかったということです。

まぁそういう場合は、解剖学ではお手上げだといいつつも、
それはもしかしたらリンリンのクセで怠けグセで、
握らないだけということも考えられると、鋭い洞察力を展開。

その後、満員の会場にも話はむけられ、
会場よりおふたりにパンダについての質問が投げかけられ、
おふたりがそれに答えるといった質疑応答もありました。

トークショーの残り時間15分になり、
最後はパンダの今後についてをお聞きしました。

倉持さんは、かつてパンダの繁殖はむずかしいものでしたと語り、
しかし近年の技術力の向上で、
今は毎年全世界で30頭ぐらいずつ人間の飼育下でパンダが生まれ、
飼育によってパンダが増えていますと。
今後も人の手によって絶滅の危機にある動物を増やしていきたいと、
締めくくってくれました。

また遠藤さんは、残念ながら僕は死んだ動物を解剖する役なので、
僕の技術でパンダの数が増えることはありませんと語り、
会場をわかしました。
しかしながら、解剖学でわかった事実が新しい知識となり、
その知識でますます何かの役に立ったり、
みんなの知識が高まることで、みんなが動物に興味を持ったり、
あるいはもっと保護をしていかなければならないといった、
そういう意見が生まれたりして貢献できるはずですと、
語ってくれたところで、ピッタリと時計の針は15時を差し、
トークショーはすばらしすぎるぐらい定刻で幕を閉じました。

現場で飼育にたずさわる方と、学術的に研究されている方の、
それぞれの立場での動物、動物園に関する貴重なお話が聞けた、
トークショーでした。

(4月25日 上野動物園)

タグ: トークショー, パンダ, 上野動物園, 倉持浩, 堀秀正, 遠藤秀紀

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